伝えたい。でも伝えたら、この関係は壊れる。あなたなら、言えますか?
制作準備中ネイルサロンを舞台に描く、大人のバージンキス。
ネイルサロンで働く花蓮は、誰もが振り返るような女性だ。丁寧に手入れされたネイル、隙のない立ち居振る舞い。男性客にも同僚にも「女子力の塊」と言われ、男性オーナーの湊からの好意も、周囲は公然の秘密として扱っている。
花蓮はそのすべてに笑顔で応えている。誰にも言えないことがひとつあることを除いて。花蓮はレズビアンだ。憧れられるたびに、モテるたびに、「そういう人」として生きてきた時間が積み重なって、今さら本当のことを言う隙間が、どこにもない。
後輩の芽衣が入ってきたとき、花蓮の胸がざわついた。不器用で、すぐに失敗して、でも嘘がつけない。花蓮の唯一の趣味だったワインを、いつからか二人で飲むようになった。芽衣のことを考えない日がなくなったとき、花蓮は気づいてしまう——それが姉のような気持ちではないことに。